保険営業でMDRTを目指すなら必ず知っておくべき“学び方・行動管理・市場選択”の本質
保険営業としてMDRTを目指しているのに、「成果が安定しない」「行動量を増やしても伸びない」と感じたことはありませんか?
実は、継続的にMDRTを達成する営業パーソンには“ある共通点”があります。
それは特別な才能でも、圧倒的な体力でもありません。
むしろ、日々の学び方や行動の整理、数字の見方など――表には出にくい部分に秘密があります。
本記事では、MDRT達成者が実践している思考・習慣・行動設計を段階的に紐解いていきます。
あなたの営業スタイルが変わるヒントが必ず見つかるはずです。
目次
MDRTとは?保険営業マンがまず押さえるべき基礎知識と入会基準

MDRT(Million Dollar Round Table)は、世界中の生命保険・金融サービス従事者が参加する国際的な専門家組織であり、高い営業実績と倫理基準を両立させたプロフェッショナルの証とされています。
日本の営業パーソンにとってもキャリアの重要指標であり、単なる売上だけでなく「顧客本位・誠実な募集」が必須の姿勢として求められます。
ここではMDRTの基礎知識・ランク・入会基準・求められる倫理観を整理していきます。
MDRTの定義・歴史・世界的な位置づけ
MDRTは1927年に米国で発足し、現在では世界80か国以上の保険・金融サービス従事者が参加する国際組織へと発展しました。
単なる成績評価ではなく、「顧客利益最優先」「倫理・誠実性」「専門性」を重んじる点が特徴です。
国際的に評価される理由は、継続研修・倫理規範・会員同士の相互研鑽が体系化されているためで、これらは顧客本位の行動を支える仕組みとして機能しています。
日本ではMDRT会員はキャリアの差別化要素にもなり、顧客からの信頼性や専門性の高さを示す指標として活用されます。
また、国際会議や各地域での研修が整備され、学び続ける文化が根付いていることも、MDRTが高い評価を受ける理由です。
こうした背景を知ることで、MDRTは売上指標ではなく“顧客本位の専門家モデル”であることが理解できます。
MDRT・COT・TOTの違いとランクごとの特徴
MDRTには「MDRT → COT → TOT」という3つのランクがあり、実績基準と募集態度の両面をクリアした会員が登録できます。
MDRTの基準年収は約1,400万円、COTは約3,000万円、TOTは約7,000万円が目安とされ、上位ランクほど高単価の案件や経営者向け提案が多く求められます。
COT・TOTでは、財務・事業承継・法人保険の高度な知識が必要になるため、専門家との連携も必要になるケースが増加します。
しかしランクが上がるほど倫理規範の順守も厳格に求められ、「顧客本位」「正確な説明」「適合性原則を満たす提案」が重要視されます。
ランク体系は単なる肩書きではなく、成果・倫理・継続的学習のバランスを示す専門家基準と言えます。
これにより、自身の目指すステージや必要な能力が可視化されるため、キャリアの基準点として活用されています。
MDRTの入会基準と「どれくらい難しいのか」目安
MDRTの入会には、毎年設定される成績(手数料・保険料・収入)基準を満たすことが必須です。
2025年度目安では基準年収約1,400万円とされ、高い成果を安定して出す必要があります。
個人保険のみでは大量の契約件数が必要となるため、法人保険・事業保険・事業承継領域への挑戦が達成の近道とされる傾向があります。
また、金融庁監督指針で示される不招請勧誘の禁止・適合性原則・書面交付義務の遵守が前提であり、募集態度に問題があれば資格維持が困難です。
MDRT会員は全保険募集人の一部に限られており、実績と倫理を両立する営業パーソンが達成する水準と考えられています。
難易度は高いものの、法人向けの高付加価値提案・営業プロセスの最適化・継続的な学習により、十分に目指すことが可能です。
倫理綱領・プロフェッショナリズムと求められる営業姿勢
MDRT会員に求められる最も重要な基準は「顧客本位の徹底」です。金融庁監督指針でも、虚偽説明・威迫行為・不当勧誘は明確に禁止されており、適合性原則に基づく提案が必須となっています。
保険商品は顧客の生活・資産・事業に大きく影響するため、ニーズやリスク許容度を踏まえたプランニングが求められます。誤解を招く表現や断定的な説明は許されません。
また、個人情報保護・書面交付義務・リスク説明の徹底など、募集行為に関する基本ルールを守ることが前提です。
MDRTは継続研修を重視しており、会員は専門知識のアップデートと行動管理を習慣化することが必要になります。
成果と倫理の両立こそが、MDRT会員が顧客から信頼を得る理由であり、長期的な紹介・リピートを生む基盤になります。
こうした姿勢を理解することで、“実績だけでなく質で評価される営業パーソン”として成長する道が見えてきます。
入会基準を理解することは、MDRT達成に向けた戦略設計の第一歩になります。
参考:
・「保険会社向けの総合的な監督指針」
・上記監督指針の PDF 版
・保険募集人の適合性原則を含む、顧客保護・説明義務などを定めた条項:監督指針「II-4 業務の適切性」以下の該当項目
MDRT達成で変わる保険営業マンの年収・キャリア・信頼

MDRTを達成すると、収入面だけでなく営業スタイル・顧客からの評価・キャリアの方向性が大きく変化します。
特に保険業界では「実績+倫理」を満たしたプロフェッショナルとして認識されるため、信頼獲得のスピードが上がり、紹介や法人案件へのアクセスが広がります。
ここでは、年収構造の変化・社会的信用・会社内評価・法人マーケットへの拡張という4つの視点から、MDRT達成がもたらす実務的なメリットを整理します。
MDRT会員の年収目安と収入構造の違い
MDRT基準年収(目安:約1,400万円)は、一般的な保険営業の平均年収約500万円(※厚労省「職業情報提供サイト jobtag」)と比べて大きな差があります。
この差が生まれる背景には、契約単価と顧客層、そして継続的な紹介の有無など、営業プロセスの質の違いがあります。
個人契約中心では件数依存になりやすいのに対し、MDRT達成者は法人・事業主案件やコンサル型提案が増え、単価が自然に引き上がる傾向があります。
また、収入構造は“件数型”から“価値提供型”に変わり、案件の幅・提案領域・専門知識が増えることで、長期的に安定するケースが多く見られます。
単価が上がることで訪問回数やアポ数も最適化され、行動量より「質」に軸を置いた営業スタイルへ移行します。
この構造転換が、年収1,400万円以上の水準に到達しやすくなる理由のひとつです。
▼ 年収の比較(視認性のための表)
| 区分 | 年収目安 | 主な契約領域 | 営業スタイルの傾向 |
|---|---|---|---|
| 一般的な保険営業 | 約500万円 | 個人保険中心 | 件数型・訪問数重視 |
| MDRT | 約1,400万円 | 法人・事業保険が増加 | 提案型・課題解決型 |
| COT | 約3,000万円 | 事業承継・財務戦略相談 | コンサル型・専門連携あり |
| TOT | 約7,000万円 | 大口法人案件・資産保全 | 高度専門職レベルの提案 |
顧客からの社会的信頼と紹介が増える理由
MDRT達成者は、専門知識と倫理性を備えた営業パーソンとして認識されるため、初回接点から顧客の安心感が高まりやすくなります。
金融庁監督指針で求められる「顧客本位」「誠実な説明」「適合性原則」を実践する姿勢が、長期的な信頼形成につながることも特徴です。
リスク説明や情報提供の正確性が高く、顧客が意思決定しやすい環境を整えることで、相談満足度が自然に高まります。
その結果、契約の有無にかかわらず“対応の質”が評価され、別の見込み客を紹介されるケースが増える傾向があります。
MDRTという第三者評価は、顧客の不安を取り除き、依頼のハードルを下げる効果もあります。
このように、行動姿勢と専門性の積み重ねが、安定的な紹介サイクルを生み出す要因となっています。
▼ 信頼が紹介に結びつく構造
| 段階 | 内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| ①誠実な情報提供 | 正確で誤解を招かない説明を行う | 初回から安心感が生まれる |
| ②適合性の高い提案 | 顧客の目的・経験に合った設計 | “無理のない提案”と評価される |
| ③満足度の向上 | 納得しやすい意思決定プロセス | 信頼感が継続的に高まる |
| ④信頼の蓄積 | 対応そのものに価値を感じてもらえる | 契約の有無に関わらず好印象が残る |
| ⑤紹介の発生 | 良い体験が他者にも共有される | 自然な紹介・相談依頼が増加 |
信頼は単発の行動で得られるものではなく、誠実な対応 → 適切な提案 → 顧客満足 → 信頼蓄積 → 紹介発生 という“因果的プロセス”の積み重ねで形成されます。
MDRT達成者が紹介を得やすいのは、このサイクルを再現性高く回せる営業姿勢が整っているためです。
会社内での評価・ポジション・キャリアへのインパクト
MDRT達成は、所属企業において「成果」「顧客対応」「倫理性」の総合力として見なされるため、キャリアの選択肢が広がります。
新人育成・研修担当・エリアリーダー等のアサインにつながるケースもあり、結果だけでなく姿勢が評価される領域に関わることが増えます。
会社によっては報奨旅行・特別研修・上位ランクの営業チームへの配属など、成長機会が拡大する傾向があります。
また、評価制度の中で“MDRT実績”が一定の加点要素として扱われることも多く、昇進・役割拡大の一因になる場合があります。
キャリアの幅が広がることで、営業個人のビジョンが明確になり、自己研鑽のモチベーション維持にもつながります。
このように、MDRT達成は「個人成果」から「組織内の専門人材」へ役割を広げる転換点となります。
▼ MDRT達成がキャリアに与える影響
| 項目 | MDRT未達 | MDRT達成者 |
|---|---|---|
| 評価の軸 | 成果中心 | 成果+倫理+専門性 |
| キャリア | 個人プレーヤー中心 | リーダー・研修担当など拡大 |
| 提案領域 | 個人契約中心 | 法人・事業承継領域へ拡張 |
| 育成機会 | 限定的 | 上位研修や国際会議参加が増える |
法人保険・事業承継マーケットにアクセスできる専門性
MDRTを継続的に目指す過程で、財務・資産管理・事業承継の基礎知識を学ぶ機会が増え、高付加価値の法人マーケットへアクセスできるようになります。
法人保険は個人保険に比べて契約単価が高く、顧客の経営課題を理解する視点が求められるため、自然と提案の質が向上します。
金融庁監督指針にある「適切なリスク説明・書面交付・顧客本位の姿勢」を守りながら、経営者の資金繰り、退職金準備、相続準備など、多面的な課題に対応できるようになります。
事業承継は専門性が高く、税理士・弁護士など外部専門家との協働が必須となるため、営業パーソンの信頼度がさらに高まる領域です。
法人案件は更新・見直しも多く、長期的な関係構築につながりやすい点も特徴です。
これにより、営業スタイルが“商品中心”から“課題解決型コンサルティング”へと転換していきます。
▼ 法人・事業承継領域で求められる知識
| 分野 | 代表的な知識内容 | 営業での活用例 |
|---|---|---|
| 財務 | PL・BSの読み方 | 退職金原資の確保提案 |
| 税務 | 法人税・相続税の基本 | 事業承継の節税設計 |
| 経営 | 資金繰り・設備投資 | 保険の活用による資金準備 |
| 法務 | 自社株評価・承継手続き | 後継者ニーズの可視化 |
参考:
・一般社団法人 MDRT日本会 — 「MDRTとは」
https://www.mdrt.jp/about/ mdrt.jp+1
・MDRT日本会 — 「MDRT会員になるために(入会基準等)」
https://www.mdrt.jp/becoming/ mdrt.jp
・金融庁 — 「保険会社向けの総合的な監督指針」
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/index.html 金融庁
・金融庁 — 監督指針の PDF 版(業務の適正性、適合性原則など含む)
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins.pdf 金融庁+1
MDRTに届かない保険営業の共通課題と「伸び悩み」の原因

MDRTを目指して行動している営業パーソンでも、成果が安定せず伸び悩む局面は少なくありません。
背景には、市場の狭さ・提案力不足・プロセス管理の欠如・専門領域への未進出 という、構造的な課題が存在しています。
以下では、特に多く見られる4つの原因を「何が壁になっているか」「どこを改善すべきか」という視点で整理します。
個人・紹介中心で単価が低く、件数頼みになっている
▼ よくある現状
● 個人保険が中心で 契約単価が低い
● 紹介が止まると、案件が途切れる
● 件数を追わないと売上が成り立たない
● 行動量は多いのに成果が横ばい
● アポイントの質より「数」が優先されがち
▼ 結果として起きること
● 成果の波が激しくなり、MDRT基準の安定達成が難しい
● 多忙なのに年収が上がりにくい
● 市場依存が強く、戦略の転換が難しい
▼ 市場構造の比較
| 市場 | 契約単価 | 成果の安定性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 個人保険中心 | 低い | 低い | 量依存・紹介途絶で失速しやすい |
| 法人保険中心 | 高い | 高い | 課題解決型提案で長期案件につながる |
ヒアリング不足で提案が「商品説明」で終わってしまう
▼ なぜ商品説明になってしまうのか?
● 質問が浅く、顧客の課題が見えない
● 話の主導権が営業側にあり、ニーズを引き出せていない
● 顧客理解が不足し、**「とりあえず商品紹介」**になりやすい
▼ その結果起きること
● 顧客は“比較しやすい要素”(保険料など)しか見ない
● 提案の価値が伝わらず、成約率が伸びない
● 適合性原則の観点からも望ましい提案が難しくなる
▼ 商品説明で終わる営業の特徴
| 状態 | 結果 |
|---|---|
| 質問より説明が多い | 顧客の真因に触れられない |
| 資料中心の会話 | 顧客が主体になれない |
| ニーズ未確認のまま提案 | “押し売り感”が出やすい |
▼ 解決の方向性
● 「何を売るか」ではなく 「なぜ必要か」 を引き出す質問設計へ
● 顧客の価値観を言語化するコンサル型ヒアリングの導入
アポ数・訪問数に偏り、成約率やプロセスのPDCAが回っていない
▼ よくある停滞パターン
● アポ・訪問に時間を使いすぎ、振り返りの時間が確保できない
● プロセスのどこに問題があるか可視化できない
● 行動量は増えるが、成約率が上がらない
▼ 典型的な課題
| プロセス | 起きがちな問題 | 影響 |
|---|---|---|
| アプローチ | 断り理由の分析不足 | アポ率が安定しない |
| 面談 | 課題抽出が不十分 | 提案の質が下がる |
| 提案 | ストーリーが弱い | 成約率が伸びない |
| フォロー | 優先度不明で遅れ | 機会損失が発生 |
▼ 改善のポイント
● 「量の営業」から「質の営業」に転換
● 数字では見えない “改善ポイントの見える化” を最優先に
● 1件1件の商談を分析することで、成約率の底上げが可能
法人保険・財務・事業承継に踏み出せず市場が狭いままになっている
多くの営業パーソンが「法人保険」や「事業承継」に関心を持ちながらも、専門知識のハードルや経験不足から最初の一歩を踏み出せずにいます。
個人保険だけに限定した市場では、契約単価・提案幅・紹介ルートが限られるため、どうしても成果が頭打ちになりやすい傾向があります。
一方で、法人・事業主向けの領域では、財務・税務・資金繰り・退職金準備といった多面的な課題が存在し、問題解決力を発揮しやすい市場です。
提案価値が高いため評価されやすく、長期的な関係性の構築にもつながります。
ただし、経営者は専門家とのやり取りに慣れているため、適切な準備や基礎知識の習得が重要です。
はじめから難解な提案をする必要はなく、まずは基本的な財務理解や、経営者特有のニーズを把握することが参入の第一歩となります。
市場が広がることで、営業スタイルが「商品説明」から「課題解決型コンサルティング」へと進化し、成果の安定化やMDRT達成の現実味も高まります。
▼ 要点まとめ
● 個人保険に集中すると市場が狭く、単価と成果が頭打ちになりやすい
● 法人・事業承継領域は課題が多層的で、提案価値が高く評価されやすい
● 財務・税務の知識不足が参入を躊躇させる大きな要因
● 経営者は専門家レベルの会話を求めるため、基礎理解が不可欠
● 市場拡大により、営業スタイルが「商品中心」→「課題解決型」へ進化
● 中長期的な関係が生まれやすく、MDRT達成に必要な単価・成約質が向上する
参考:
・金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」
・MDRT日本会「MDRT会員になるために」
・厚生労働省 賃金構造基本統計調査
MDRTを最短で目指すための3つの戦略【売上逆算・単価アップ・紹介設計】

MDRTを最短で目指すには、行動量を増やすだけでは不十分で、成果を「再現性あるプロセス」に落とし込むことが不可欠です。
特に重要なのは、①売上の逆算、②契約単価の引き上げ、③紹介が自然に生まれる価値提供の設計 の3点です。
これらを体系的に組み合わせることで、個人営業中心でも法人案件中心でも、目標達成までの道筋が明確になり、成果が安定しやすくなります。
以下では、MDRT達成者が実践している重要戦略を具体的に解説します。
年間MDRT基準から逆算する「必要売上・必要件数」の出し方
MDRTを目指すうえで最初に行うべきは、「MDRT基準を達成するために必要な売上・件数」を数値化し、達成可能な戦略に落とし込むことです。
基準を曖昧なまま追うのではなく、必要な年間売上を算出し、月次・週次まで分解することで、日々の行動に明確な基準が生まれます。
単価・成約率・アポ率から逆算することで、「不足しているのは件数なのか質なのか」が把握しやすく、改善点が見える化されます。
さらに、目標を分解することで精神的な負担が減り、成果の波も安定します。
逆算は「努力量」ではなく「構造」で勝つ営業スタイルへの第一歩と言えます。
▼ 逆算のイメージ
| 項目 | 数値例(目安) |
|---|---|
| MDRT基準年収(目安) | 約1,400万円 |
| 平均契約単価(例) | 30万円 |
| 必要年間件数 | 約47件 |
| 月あたりの必要件数 | 約4件 |
| 必要アポ数(成約率20%想定) | 月20件 |
※具体数値は個々の手数料体系により異なるため、あくまで計算方法の参考として活用。
個人契約中心から法人契約中心へシフトし「契約単価」を最大化する
MDRTを最短で目指す営業パーソンの多くが行っているのが「単価の高い市場」への移行です。
個人保険中心の場合、件数依存になりやすく、時間と労力が比例して増えます。
一方、法人・事業主向け領域は、財務・退職金・保障設計などテーマが広いため、提案価値が高く、単価を自然に上げやすいのが特徴です。
特別な税務資格がなくても、財務3表の基本、社長の退職金準備、リスク管理など、最低限の知識から参入可能です。
単価上昇により、アポ数を無理に増やさなくても成果が伸びやすい構造をつくれます。
▼ 個人市場と法人市場(単価比較)
| 市場 | 特徴 | 契約単価 | 成果の安定性 |
|---|---|---|---|
| 個人保険 | 生活保障中心 | 低い | 低い(件数依存) |
| 法人保険 | 財務・退職金 | 高い | 高い(課題深い) |
| 事業承継 | 株価・後継者対策 | 非常に高い | 長期継続しやすい |
契約後フォローから紹介が自然に生まれる“価値提供シナリオ”の作り方
多くの営業パーソンは「紹介をお願いする」のが難しいと感じますが、MDRT達成者は“お願い”ではなく“自然発生”の仕組みを作っています。
ポイントは「契約後のフォロー」から顧客の安心感を積み上げ、感謝が紹介行動につながる流れを意図的に設計することです。
契約直後だけでなく、半年後・1年後に振り返りを行い、必要に応じて設計見直しを行うことで、顧客は「この担当者なら紹介しても大丈夫」という心理状態になります
紹介は“テクニック”ではなく“信頼の副産物”であり、信頼の源泉は「情報提供」「定期点検」「誠実な姿勢」です。
時間をかけて関係性を育てることで、紹介は少ない負担で継続的に発生します。
▼ 紹介が生まれるシナリオ
● 契約内容の振り返り・改善提案
● ライフプランや事業状況の変化チェック
● 定期的な情報提供(税制・制度変更)
● 顧客の不安を先回りして解消
● 信頼の蓄積 → 紹介が自発的に発生
見込み客→アポ→面談→クロージング→フォローのプロセス設計
MDRTを目指すうえで重要なのは、営業を“偶然の成功”にしないことです。
見込み客の発見から契約後フォローまで、プロセスを分解し、改善点を特定することで成果は大きく変わります。
特に、面談で顧客の課題を深く理解し、解決ストーリーを明確に示すことは成約率向上に直結します。
また、フォローを怠ると紹介やアップセルの機会が失われるため、継続的な関係づくりは必須です。
プロセスの「どこが弱いか」を把握することが、最短でのMDRT達成につながります。
▼ プロセス別の改善ポイント
| プロセス | 目的 | 改善ポイント |
|---|---|---|
| 見込み客 | 適切なターゲット設定 | 個人→法人へ市場拡大 |
| アポ | 接点獲得 | 再勧誘禁止を守りつつ質の高い導入トーク |
| 面談 | 課題ヒアリング | 商品説明より“顧客の目的”中心へ |
| 提案 | 解決案を提示 | ストーリー型・比較資料は公平に |
| フォロー | 信頼蓄積 | 正確な情報提供と定期点検 |
参考:
・金融庁|保険募集人の行動ルール・顧客本位・適合性原則の根拠として
・MDRT日本会|MDRT基準・入会条件・年収基準の出典として
・厚生労働省|保険営業職の平均年収・賃金統計の出典として
法人保険×事業承継提案でMDRT基準に到達する具体的ステップ

MDRT達成者の多くは「法人保険」「事業承継」という高付加価値マーケットを攻略し、少ない件数でも大きな成果につながる構造を確立しています。
中小企業オーナーは、相続・退職金・財務改善など複雑な課題を抱えており、ここに保険が果たせる役割は大きく、提案の幅も広がります。
重要なのは、税務や財務を“専門家の領域”として扱いつつ、保険の特性を経営課題の文脈に落とし込むストーリーを組み立てることです。
以下では、事業承継案件がなぜ大きな成果につながるのか、そのステップを具体的に解説します。
中小企業オーナーが抱える事業承継・相続・退職金のリアルな悩み
中小企業オーナーは、経営と家庭が密接に結びついているため、相続や事業承継の課題が複雑化しやすい傾向があります。
経営者の高齢化が進む中、「後継者の選定」「株価の高騰」「退職金原資の準備」「相続税の資金確保」など、多層的な悩みを同時に抱えています。
また、オーナーの個人資産・法人資産・家族構成が絡むため、誰に相談して良いか分からず、問題を先送りにしているケースも少なくありません。
保険営業が介在できる領域は限定されますが、課題整理や必要保障額の算定など、支援できるポイントは多く存在します。
顧客の悩みを正確に把握することで、専門家(税理士・弁護士)との連携もしやすくなり、提案の質が大きく向上します。
これらの悩みを理解しているかどうかが、法人提案の信頼を左右する重要なポイントになります。
▼ 中小企業オーナーの主な悩み
● 事業承継:後継者不足/株式の分散/会社の継続性
● 相続:相続税の支払い資金/自社株の評価
● 退職金:役員退職金の原資不足
● 財務:運転資金の安定性・利益のブレ
● 経営:家族内トラブル、従業員への不安
財務三表を「保険目線」で読み解くための最低限のポイント
事業承継提案において、財務三表(BS・PL・CF)の理解は不可欠ですが、すべてを深く学ぶ必要はありません。
重要なのは「保険で解決できる領域」を把握し、経営課題を正しく読み取れる最低限の視点を持つことです。
特に注目すべきは、役員報酬・純資産・現預金残高・退職金規程の有無など、保障提案とリンクするポイントです。
財務の細部よりも、経営者が将来に向けてどんなリスクを抱えているかを読み解くことが重要です。
また、専門家領域(税金計算・株価算定など)は扱わず、必要に応じて専門家へつなぐ姿勢が信頼形成につながります。
「財務理解=経営者の言語で話せる力」と捉えることで、提案の説得力が大きく高まります。
▼ 最低限押さえる財務ポイント
| 財務資料 | 保険目線で見るポイント | 関連する提案領域 |
|---|---|---|
| PL(損益計算書) | 役員報酬、利益推移 | 退職金準備、保障額 |
| BS(貸借対照表) | 純資産、現預金、自社株 | 事業承継・相続対策 |
| CF(キャッシュフロー) | 手元資金、投資余力 | 資金準備、保障設計 |
経営課題から保険提案に繋げるストーリー設計(節税・資金準備・退職金)
事業承継や法人保険の提案は、「商品」から入るのではなく「課題」から逆算するストーリー設計が重要です。
例えば、利益の波が大きい企業なら将来の資金確保、役員が高齢なら退職金原資の計画など、課題から自然に保険の必要性が生まれます。
提案の前に、経営者の価値観(会社への想い・家族構成・財務状況)を整理し、“将来像のギャップ”を言語化することが有効です。
また、税務効果の話は断定せず、「制度上このような扱いが可能」「専門家と協議しながら検討が必要」という中立的な表現を用います。
ストーリー型の提案にすることで、経営者は自社の未来を具体的に描け、納得感の高い意思決定へとつながります。
“経営課題 → リスク可視化 → 資金設計 → 保険活用” という流れを作れると、提案の質が大きく向上します。
事業承継案件が「少ない件数で大きな売上」を生む理由と注意点
事業承継案件は、単価の大きさと継続的な相談ニーズから、少ない件数でも売上に直結しやすい領域です。
しかし、経営者の将来に関わるため、慎重なヒアリングと専門家連携が不可欠で、短期的な成果だけを追う姿勢は逆効果になります。
特に注意すべきは、税務メリットの“断定表現”の禁止、適合性原則に反しない提案、再勧誘禁止などの法令順守です。
また、保険だけで全てを解決しようとせず、「経営課題の一部を保険が支援する」立ち位置を明確にすることが信頼につながります。
事業承継は長期プロジェクトとなるため、顧客との関係維持・定期的な情報提供が最も重要な価値となります。
適切な姿勢とプロセスを守ることで、結果として高単価かつ継続性のあるビジネスになります。
▼ 売上が大きくなる理由
● 保険金額・保障額が大きくなる傾向
● 課題が深く、複数の提案が必要になる
● 長期継続しやすい(見直し・定期点検)
● オーナー紹介につながりやすい市場
匿名事例で学ぶ、事業承継提案から大型契約につながるプロセス
事業承継案件の成功事例を見ると、「最初は雑談レベルの相談」から始まり、丁寧な課題整理を経て大型契約に発展するケースが多くあります。
例えば、利益の波が大きい企業の社長から「退職金どうしようか」という相談があり、財務確認→課題整理→資金準備設計→保険活用という流れで進むパターンです。
重要なのは、保険の話を急がず、経営者の価値観や将来像を丁寧に引き出すプロセスです。
税務・財務の判断は専門家と連携し、営業は「課題の見える化」と「選択肢の提示」に徹することで信頼形成が進みます。
最終的に、経営者自身が“必要性を理解した状態”で契約に至るため、満足度が高く長期関係につながるケースが多いのが特徴です。
このような事例は、事業承継提案の本質が「商品提案」ではなく「課題解決」にあることを示しています。
参考:
・金融庁|事業承継・法人保険提案で必須となる法令順守の根拠
・MDRT日本会|MDRT基準年収/COT・TOT基準の出典
・厚生労働省|保険営業職の平均年収(500万円)など賃金データの一次情報
MDRTを継続達成する営業パーソンの思考・習慣・学び方

MDRTを一度達成することと、毎年継続して達成し続けることはまったく別物です。
単発の成果ではなく「再現性のある営業スタイル」を持つ人だけが、年々ハードルが上がる基準を乗り越えていきます。
継続達成者には共通する“考え方・行動習慣・学習プロセス”が存在し、それらは特別な才能や話術ではなく、誰でも身につけられるものです。
ここでは、MDRT基準を安定してクリアしている営業パーソンが実践している思考法と習慣化の技術を具体的に紹介します。
トップ層に共通する自己投資・学習習慣と情報の取り方
MDRTを継続達成する営業パーソンは、知識・情報のアップデートを「投資」として捉え、学習を仕組み化しています。
特に法人・事業承継領域では変化が早く、外部環境に適応できる人ほど成果が安定する傾向があります。
トップ層に見られる共通点は、情報の“質”を重視し、専門家・書籍・公的資料を使い分ける点です。
▼ トップ層の学習習慣
● 毎週1時間は「財務・税制」のアップデート時間を確保
● 公的資料(金融庁・内閣府・中小企業庁)の一次情報を優先
● 実務家の書籍で“現場の思考法”をインプット
● 1年に1回以上、外部セミナー・講座で新領域を学ぶ
● インフルエンサー情報はエンタメと学習を切り分けて活用
質の高いインプットは、提案の深さ・スピード・信頼性に直結するため、トップ層ほど「学び方」を意図的に選択しています。
行動量ではなく「数字に基づく行動管理」を行うための指標
成果の波が大きい営業パーソンの多くは「行動量」を基準に管理しています。
一方、MDRT達成者は「数字の因果関係」で行動を管理し、改善ポイントを定量的に把握しています。
行動管理を“感覚”ではなく“指標”に変えることで、再現性が大幅に高まります。
▼ 行動管理の主要KPI
| 指標 | 目的 | 質を上げるポイント |
|---|---|---|
| アポ率 | 接点獲得力の把握 | 導入トークの改善・ターゲットの見直し |
| 面談率 | 信頼構築プロセスの確認 | ヒアリングの深度・事前準備 |
| 成約率 | 提案価値の伝達度 | 課題中心の構造化提案 |
| 平均単価 | マーケット選定の妥当性 | 個人→法人→事業承継の順で拡張 |
| 紹介率 | 顧客満足度 | 契約後フォローの可視化 |
数字で行動を管理すると、改善点が自動的に浮き彫りになるため「行動量のムダ」を大幅に削減できます。
メンタル・セルフマネジメントで売上の波を小さくする工夫
MDRTを継続達成する人は、精神的な安定を“スキル”と捉え、自己管理を徹底しています。
売上の波が大きくなる最大の要因は、外部環境よりも「行動のムラ」が生まれる点にあります。
感情に左右されず行動を一定に保つ仕組みを作ることで、年間を通じて成果が安定しやすくなります。
▼ トップ層のセルフマネジメント
● 1日の最初に「優先タスク3つ」を必ず書き出す
● 週次レビューで“できた理由/できなかった理由”を整理
● 完璧主義を避け、70%の完成で行動を進める
● 契約の成果ではなく「行動の再現性」を自己評価の軸に置く
● 感情が乱れた時に備え、ルーティン(散歩・記録・休息)を用意
メンタルの安定は、単なる精神論ではなく「行動を維持するための技術」として扱われています。
会社研修だけに頼らない“外部セミナー”の活用法と選び方
会社の研修だけでは、法人保険・財務・事業承継の深い実務までカバーできないことが多くあります。
MDRT達成者の多くは、自主的に外部の学習機会を取り入れ、知識の幅を広げています。
ただし、選び方を誤ると情報過多や非現実的なノウハウに振り回されるため、基準を明確にすることが重要です。
▼ 外部セミナーの選び方
● 公的機関・士業など「一次情報ベース」の講座を優先
● 過度な煽り文句(“誰でも簡単に稼げる”など)は避ける
● 自社コンプライアンスに適合する内容か確認
● 学べるテーマが“現在の課題”と一致しているか
● 営業ノウハウより「専門知識」や「市場理解」を得られるものを選ぶ
外部セミナーは“刺激”ではなく“能力開発”のために活用するのが継続達成者の特徴です。
事業承継の営業手法セミナーをMDRT達成のショートカットにする考え方
事業承継領域は、「市場単価が高い」「紹介が生まれやすい」「長期関係が構築される」という特徴があり、少ない件数でもMDRT基準に到達しやすい市場です。
ただし専門性が高いため、体系的に学ばなければ成果が再現しづらいという側面もあります。
事業承継セミナーを“ショートカット”に変えるポイントは、学んだ内容をそのまま使うのではなく「自分の顧客の課題に置き換えて整理」することです。
▼ ショートカットに変えるポイント
● 財務・株価・後継者問題を「保険で支援できる領域」に整理
● 中小企業白書や金融庁の資料で、事業承継の構造を理解
● ケーススタディを、自分の顧客に当てはめて再構築
● 士業との連携ポイント(税理士・社労士)を整理
● “知識の羅列”ではなく“経営課題→解決策”の流れに落とし込む
正しく活用すれば、事業承継領域は MDRT最短化の最も再現性の高い市場の一つ になります。
参考:
・金融庁:保険会社向け監督指針
・MDRT日本会:MDRT会員になるために
まとめ|MDRTを継続達成するための思考・学習・行動設計とは
この記事では、MDRTを継続達成する営業パーソンに共通する「思考」「習慣」「行動管理」について、以下のポイントを解説しました。
● トップ層が必ず行っている“自己投資・学習習慣”の作り方
● 行動量ではなく「数字で改善する営業スタイル」への転換
● メンタルを整え、売上の波を最小化するセルフマネジメント
● 会社研修だけに頼らず、外部セミナーを効果的に活用する方法
● 事業承継セミナーをMDRT達成のショートカットに変える視点
MDRTを継続して達成するために必要なのは、特別な才能ではありません。
大切なのは、“成果が出る行動を再現できる仕組み” をつくることです。
その仕組みを支えているのが、安定した学習習慣、数字に基づく行動管理、自己マネジメント、そして外部の専門知識を吸収する姿勢です。
これらを積み重ねることで、営業力は「努力頼みの属人的なスタイル」から、“再現性のあるプロフェッショナル営業” へと進化します。
MDRTは単なる称号ではなく、「顧客の課題に誠実に向き合い続ける営業者の姿勢」が評価された証です。
継続達成を目指す方は、今日から取り組める小さな行動を設計し、安定して成果が積み上がるキャリアを築いていきましょう。










