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保険営業マンのための確定申告完全ガイド|経費・節税・青色申告まで徹底解説

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  3. 保険営業マンのための確定申告完全ガイド|経費・節税・青色申告まで徹底解説

保険営業マンとして成果を上げるほど、「税金が高い」「確定申告が複雑」と感じる方は多いでしょう。

 

実際、保険営業の報酬体系は固定給・歩合給・手数料など複雑で、契約形態によって所得区分や申告方法が大きく異なります。

 

この記事では、個人事業主型の保険営業マンを中心に、確定申告の基本から経費の考え方、節税制度、青色申告の活用までをわかりやすく解説します。

「税金の仕組み」を理解し、正しく申告・経費化することが、結果的に手取り収入を増やす第一歩となります。

 

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なぜ保険営業マンに確定申告が必要なのか|契約形態と所得区分を整理する

保険営業マンの多くは、会社員のように年末調整だけで完結せず、自身で確定申告を行う必要があります。

 

理由は、報酬が「給与所得」ではなく「事業所得」や「雑所得」に該当することが多いためです。

給与所得・事業所得・雑所得の違いを理解する

自身がどの区分に該当するかを理解していないと、申告漏れや控除の損失につながります。

 

所得区分 詳細
給与所得 会社員や固定給制の営業職に適用され、会社が源泉徴収・年末調整を行います。
事業所得 業務委託契約やフルコミッション型の営業マンに多く、経費計上が可能です。
雑所得 副業や臨時報酬など一時的な収入が該当します。

業務委託・フルコミッション型に多い申告漏れリスク

保険営業マンの報酬は「外交員報酬」として支払われるケースが多く、支払調書が税務署に提出されています。

 

そのため、申告を怠っても税務署側で把握されており、後日「無申告加算税」などの指摘を受けることがあります。

 

とくに報酬の一部が歩合制の場合、自分が事業主扱いであると意識することが重要です。

無申告・誤申告によるペナルティと回避法

無申告のまま放置すると、延滞税・加算税・重加算税が課される場合があります。

 

期限内に正しく申告すれば、延滞税を避けられるだけでなく、還付金が戻るケースもあります。

 

「税金を払う=損」と考えず、正しい申告こそが長期的な信用と安定経営につながります。

確定申告の基本ステップ|期間・必要書類・提出方法を解説

確定申告は毎年2月16日〜3月15日頃までに行います(年度により多少変動)。手続きの流れを把握しておけば、焦らず効率的に進められます。

申告期間・提出期限・e-Tax対応の基本

近年は電子申告「e-Tax」の利用が主流です。e-Taxなら自宅から24時間送信でき、青色申告特別控除65万円の適用条件にもなります。

 

提出期限を過ぎるとペナルティが発生するため、早めの準備を心がけましょう。

支払調書・収支内訳書など保険営業マンに必要な書類

主な書類は次の通りです。

 

● 生命保険会社から送付される「支払調書」

 

● 経費をまとめた「収支内訳書」または「青色申告決算書」

 

● 源泉徴収票(給与所得がある場合)

 

● 各種控除証明書(国民年金・健康保険料など)

 

引用:国税庁>確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)

クラウド会計ソフトを使った効率的な申告方法

会計ソフト(マネーフォワード、弥生、freeeなど)を使えば、銀行口座・クレジットカード明細の自動取込や、勘定科目の自動仕訳が可能です。

 

簿記知識がなくても正確に記帳でき、e-Tax連携でそのまま送信できるため、初心者でも安心です。

 

引用:e-Tax

経費を正しく活用して節税する|保険営業マンが計上できる主な費用

保険営業マンの経費は幅広く認められます。ただし「業務に直接関係すること」が前提です。曖昧な支出は避け、根拠を残しましょう。

交通費・通信費・交際費など代表的な経費と注意点

保険営業マンの確定申告で最も重要なのが、「どの支出を経費にできるか」を正しく理解することです。以下に代表的な経費と、節税効果を高めるための注意点を説明します。

 

● 交通費・ガソリン代

顧客訪問や出張時の移動費は経費に計上できます。ICカードの利用履歴やガソリン領収書を必ず保管し、プライベート利用分を含めないことがポイントです。

 

車を業務と私用で併用する場合は、走行距離や訪問記録を残して按分計算しましょう。

 

● 通信費

スマートフォン、パソコン、インターネット代など、営業活動に必要な通信費は経費計上できます。

 

ただし、私的利用との区別が不明確だと否認されるリスクがあります。業務用SIMやサブ回線を分ける、請求書に利用割合をメモするなど、証拠を残す工夫をしましょう。

 

● 接待・飲食費(交際費)

顧客との打ち合わせや契約後の懇親会など、業務上必要な範囲であれば経費に認められます。ただし、「プライベートの食事」や「同僚との雑談ランチ」などは対象外です。

領収書には日付・金額・参加者・目的(例:契約後フォロー面談)を必ずメモしておくことで、税務調査にも対応できます。

自宅兼事務所の家賃・光熱費の按分ルール

自宅の一部を仕事場として使う場合、使用面積や時間割合で按分します。

 

例えば1LDKのうち、書斎1室を業務利用(20%)しているなら、家賃・光熱費の20%を経費に計上することが可能です。

書籍・セミナー・外見維持費など自己投資型経費の扱い

営業スキルを高めるための書籍・研修費は経費に含められます。また、スーツや名刺、ヘアカットなど営業活動に必要な清潔感維持費も一定範囲で認められます。

ただし「プライベート利用が主」と見なされる支出は除外されるため注意が必要です。

 

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青色申告で年間10万円以上節税する方法

青色申告は、正しい帳簿をつけることで大幅な税負担軽減が可能になる制度です。保険営業マンにとって最も有効な節税手段のひとつです。

青色申告の仕組みとメリット

青色申告を選ぶ最大の理由は、「税金の支払額が大幅に減る」ことにあります。

 

特に保険営業マンのように経費が多い職種では、青色申告特別控除(最大65万円)が節税効果を生み出します。

 

青色申告の主なメリットは次の3つです。

 

● 最大65万円の特別控除(帳簿を正しくつけてe-Tax申告した場合)

 

● 家族への給与を経費化できる(青色事業専従者給与)

 

● 赤字を3年間繰り越し、翌年以降の利益と相殺できる

 

たとえば、以下のようなケースを見てみましょう。

 

項目 青色申告 白色申告
売上(報酬収入) 5,000,000円 5,000,000円
経費 ▲1,000,000円 ▲1,000,000円
青色申告特別控除 ▲650,000円
所得金額 3,350,000円 4,000,000円
所得税・住民税(概算) 約372,000円 約488,000円

単位:円

 

所得税・住民税の差額は約11万6,000円の節税効果となります。

 

さらに、青色申告では家族に支払う給与(例:妻に年60万円)も経費にできるため、実際の税負担は年間15万円以上軽くなるケースも珍しくありません。

 

「手間がかかりそう」と敬遠されがちですが、クラウド会計ソフトを使えば仕訳も自動化でき、手間よりも節税効果が圧倒的に上回ります。

白色申告との違いと選び方

白色申告は、簡単な帳簿だけで済む反面、控除や節税のメリットがほとんどありません。

 

特別控除はなく、家族への給与も経費にできないため、青色申告との税負担差が10万円以上になることも多くあります。

 

「まだ始めたばかりだから…」と白色申告を選ぶ人もいますが、今後も保険営業として継続的に活動するなら、青色申告一択です。

 

翌年以降、安定的に収益を上げたい人ほど「節税の仕組みを味方にする」べきでしょう。

帳簿付け・記帳で失敗しないためのコツ

青色申告の効果を最大化するには、帳簿の信頼性を保つことが重要です。難しい会計知識は不要ですが、次の3つを徹底しましょう。

 

● 領収書・レシートは日付順にファイル化する

● 月1回、クラウド会計ソフトに取引を入力する

● 銀行・クレカ口座は業務用と私用を完全に分ける

 

この3点を守るだけで、税務調査に強い帳簿が完成します。

 

「整った帳簿=信頼される営業マン」の証です。金融機関や法人取引の際にも、経営者的視点を持つ保険営業として大きな信頼を得ることができます。

保険営業マンが知っておくべき節税・特例制度

ここからは“やり方を知る”から“一歩先の節税戦略を実践する”へ進みます。保険営業という職種は、収入変動が大きいため、将来に備えた節税対策が欠かせません。

家内労働者等の必要経費特例と簡易課税制度

確定申告において、実際の経費が少なくても一定額を「みなし経費」として計上できるのが、家内労働者等の必要経費の特例です。

 

この制度を使えば、帳簿が完璧でなくても年間65万円(または実際の経費額のいずれか多い方)を自動的に経費として認めてもらえます。

 

たとえば、経費をあまり使わないタイプの営業マン(在宅で電話中心・移動少なめなど)でも、次のような計算が可能です。

 

【例】外交員報酬500万円・実経費30万円の場合

 

項目 通常計算 特例利用時
売上(外交員報酬) 5,000,000円 5,000,000円
経費 ▲300,000円 ▲650,000円
所得金額 4,700,000円 4,350,000円
税金(所得税+住民税概算) 約586,000円 約530,000円

単位:円

上記のように、年間約5〜6万円の節税効果となるでしょう。帳簿づけが不慣れな新米営業マンでも、まずはこの特例で申告のハードルを下げられます。

 

一方、「消費税の簡易課税制度」は、売上が1,000万円以下の個人事業主が使える制度で、業種ごとに定められた「みなし仕入率」に基づき、納税額を簡略化します。

 

保険営業の場合、金融業に分類され、みなし仕入率は50%が目安です。

 

【例】課税売上800万円・課税仕入400万円の場合

 

項目 通常課税 簡易課税(金融業50%)
消費税額

(10%)

800万円×10%−仕入控除

400万円×10%=40万円

800万円×10%×(1−50%)=

40万円 

 

同水準でも、簡易課税のほうが計算・仕訳を大幅に簡略化できます。

実際には、仕入や経費が少ない営業形態ほど、簡易課税の方が得になる傾向があります。開業から2期目以降に選択届を出せば適用可能です。

小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金の活用

これら3つは、「将来の備え」と「節税」を同時に実現できる制度です。すべて掛金全額が所得控除の対象になるため、使わない手はありません。

 

制度名 掛金上限 年間節税効果

(年収500万円・所得税+住民税20%前提)

特徴
小規模企業共済 月7万円

(年84万円)

約16.8万円 廃業・引退時に退職金のように受け取れる(事業主向け)
iDeCo

(個人型確定拠出年金)

月2.3万円

(年27.6万円)

約5.5万円 運用益非課税・60歳以降に年金または一時金で受取可
国民年金基金 月6.8万円

(年81.6万円)

約16.3万円 終身年金形式で、老後収入を安定化

これらを組み合わせると、年間30万円以上の節税効果も可能です。

 

特に営業収入が安定してきた30代後半〜40代の保険営業マンは、「青色申告+小規模企業共済+iDeCo」で税金を減らしつつ、将来の退職金づくりにもつなげられます。

MDRT級営業マンが注意すべき税金対策ポイント

年収1,000万円を超える営業マンは、所得税+住民税で最大55%近い税率になる場合があります。

 

この「累進課税」を理解せずに放置すると、年収が上がるほど税金で差し引かれる割合が増え、手取りが減る“逆転現象”が起きかねません。

 

【例】年収1,000万円・経費200万円のケース(独身・東京在住)

区分 所得税+住民税概算 実質手取り
対策なし(白色申告) 約245万円 約755万円
青色申告+共済+iDeCo活用 約210万円 約790万円

 

年間35万円の節税効果となります。さらに法人化(株式会社・合同会社)を検討すれば、社会保険の最適化や家族給与の分散なども可能になります。

 

MDRTを目指す営業マンに必要なのは、「稼ぐ力」と同時に「守る力」です。

 

税理士やFPと定期的に打ち合わせ、節税・資産運用・事業承継を一体で設計しておくことが、長期的な成功のカギとなります。

まとめ

確定申告を制する者が“営業収入を守れる人”です。保険営業マンにとって、確定申告は「義務」ではなく「戦略」です。

 

正しい税務知識は次のステージ、MDRT達成や法人化への土台にもなります。

 

この記事で紹介したポイントは以下の通りです。

 

● 契約形態ごとの税区分を理解し、無申告リスクを防ぐ

● 経費を正しく計上し、節税効果を最大化する

● 青色申告・特例制度を活用して税負担を軽減する

 

税務を味方につけることは、MDRTを目指す営業パーソンの基礎体力づくりでもあります。

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