【保険営業】フルコミッションとは?仕組み・給与体系・リスクと成功戦略を徹底解説
保険営業で働いていると、「保険営業のフルコミッションは本当に稼げるのか?それともきついだけなのか?」という疑問は誰もが一度は抱きます。
フルコミッション(完全歩合制)は、高収入を狙える働き方として注目される一方で、収入の不安定さや離職率の高さがデメリットとして語られています。
結論として、フルコミッションは仕組みや給与体系、リスクを正しく理解し、戦略的に行動できる人にとっては大きなリターンを得られる働き方です。
しかし知識不足のまま飛び込むと収入が乱れ、短期間で挫折するケースも珍しくありません。
この記事では、保険営業でフルコミッション制を検討する方に向けて、仕組み・メリット・デメリット・年収モデル・成功戦略まで、必要な情報をわかりやすく解説します。
目次
フルコミッション保険営業の仕組みと給与体系の基礎知識
フルコミッションへの転換を検討する際、まず押さえるべきは「給与体系の違い」です。
日本では一社専属型、乗合代理店(GA)、外資系生命保険会社などで制度設計が微妙に異なります。ここでは、詳しく掘り下げるための全体像を整理しましょう。
完全歩合制と固定給+歩合の違い
固定給+歩合制では、最低限の給与が定期的に支給されるため、短期的な生活の安定性が保たれます。
また、組織による案件供給や教育サポートが受けやすく、成果が出るまでの期間を会社が一定程度補ってくれます。
固定給+歩合の場合毎月の最低保証がある組織のサポート(案件供給・指導)が付きやすい成績が悪くても短期の生活は安定
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固定給+歩合の場合 |
| 毎月の最低保証がある |
| 組織のサポート(案件供給・指導)が付きやすい |
| 成績が悪くても短期の生活は安定 |
一方で、完全歩合制のフルコミッションは、契約がなければ収入がゼロに近い月もあり得る厳しい仕組みです。しかし、その分だけ成果と報酬が強く連動し、努力がそのまま収入に反映される構造になっています。
特に外資系生命保険会社では、フルコミッションは「起業家型の働き方」と位置づけられることが多く、高い自由度と引き換えに自己管理能力が求められるのが特徴です。
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完全歩合制の場合 |
| 契約がゼロの月は収入がほぼ発生しない |
| 支払いは全て成果ベース |
| 自由度は高いが自己管理の比率が大きい |
ノルマ・コミッション・手数料率の基本構造
フルコミッションの収入は、保険会社や代理店が設定する「販売手数料」が基礎になります。手数料は、新規契約で支払われる初年度手数料と、保険継続に応じて支払われる継続手数料の2種類が中心です。
外資系生命保険会社の採用情報では、商品ごとに成果報酬が高めに設定されていることが明記されており、特に外貨建商品や法人向け保険はコミッションが高い傾向にあります。
また、多くの代理店の説明資料や募集要項では、新規手数料はおおむね30〜50%、継続手数料は5〜10%前後が“目安”として紹介されています(商品や控除条件により変動)。
さらに、代理店に所属する場合は会社側の控除が発生するため、同じ契約でも所属先によって手取り額が大きく変わる点を理解しておくことが重要です。
新規30〜50%・継続5〜10%は高い?業界相場の実態
新規手数料30〜50%、継続5〜10%という水準は数字だけを見ると高く感じられますが、日本の生保市場では「商品の設計・リスク量・販売コスト」によって手数料率が大きく左右されます。
外貨建終身や法人向け定期保険のように保険料が高額で、販売に専門知識が求められる商品はコミッションが高めに設定され、逆に医療保険など小口商品の手数料は低く抑えられます。
また、日本では欧米と異なり、手数料体系が一定の枠内に収まるように制度設計されているため、米国のように70%を超える高コミッション商品は多くありません。
このため、営業マンの収入は「単価」「件数」「継続率」の積み上げで安定させる必要があり、商品選択と顧客管理が収入の差を生む重要なポイントになります。
フルコミッションのメリット・デメリットを現実目線で整理する

フルコミッション最大の魅力は「収入の上限がないこと」です。一方でリスク管理が必要で、参入のハードルも低くはありません。
以下では、営業マンが実際に感じるメリット・デメリットを具体的に解説します。
収入上限なし・裁量の大きさというメリット
フルコミッションの最大の魅力は、収入の上限が存在せず、成果に比例して報酬が増える点です。
勤務時間の使い方やアプローチ手法に制限がなく、組織の意向よりも自分の戦略を優先しやすいことも大きな利点です。
経験を積み、顧客基盤が増えてくると継続手数料の比率が高まり、安定収入に近い形が出来上がります。
特に外資系生命保険会社では、数百世帯の顧客を継続的に担当することで、ストック収入だけでも毎月安定した収入を得ている例が数多く見られます。
「きつい」と言われる理由(収入の波・離職率・自己管理)
フルコミッションが「きつい」と言われる背景には、収入の変動幅が大きく、成果が出ない期間が精神的負担となる点があります。
契約が取れなければ一気に収入が落ち込むため、短期的な結果が出るまで耐える力が必要です。
また外資系生保のデータでは、初年度の離職率が50%を上回る会社もあり、自立した行動力が求められる環境であることがわかります。
固定給のような安全網がないため、自分で日々の予定管理・学習・活動量を調整できない人は成果につながりにくい傾向があります。
社会保険・税金・経費負担はどう変わるのか
フルコミッションに移行すると、社会保険が会社負担ではなくなり、国民健康保険と国民年金への加入が基本となるケースが多くなります。
交通費や通信費、営業活動に伴う交際費なども自己負担になりますが、その分、経費計上の幅が広がり節税効果が得られる点はメリットです。
特に個人事業主扱いになる場合は、青色申告による控除や経費活用によって、手取りベースが固定給時代より増えるケースも珍しくありません。
フルコミッション営業の年収モデルと成功・失敗の分岐点

ここからは、多くの営業マンが最も知りたい「収入のリアル」を扱います。以下ではMDRTライン、成功者の推移、失敗パターンなどを具体的に説明します。
MDRT達成者の年収推移(1年目〜4年目)
実績を伸ばした営業マンの多くは、1年目は初期補給金に支えられつつ300〜600万円前後で推移し、2年目からは紹介件数が増えることで600〜1200万円ほどに拡大します。
3年目に法人契約へ踏み出すことで年収1500〜3000万円へ伸びるケースが多く、4年目にMDRT基準に達する例が目立ちます。
外資系では、専門性と行動量が噛み合うことで4年目に5000万円以上を達成する営業マンもおり、努力と再現性のある営業スタイルが収入の伸びを決定づけています。
フルコミッションで“収入が安定しない人”に共通する3つの特徴
収入が不安定になる人の最も大きな理由は、新規開拓の方法が毎月変わり、行動が再現性を欠いている点にあります。
テレアポやSNSなど複数の手法を場当たり的に試すことで、成果が出ても続かないという悪循環に陥りやすくなります。
また、既存顧客へのフォローが不十分な人は、紹介が生まれず常にゼロからの集客を強いられ、活動負荷が増す割に成果が安定しません。
さらに、医療保険や終身保険のような単価の低い商品ばかり扱うと、契約件数を積み上げても収入が伸びづらく、高単価契約の必要性に気づかないまま停滞するケースが多く見られます。
30代で年収2,000万円を実現するための条件
30代で年収2000万円に達する営業マンは、法人市場を主戦場としていることが多く、経営者向けの退職金準備や事業承継対策など、高単価案件を安定的に扱っています。
また、士業との協業体制を持ち、税理士や社労士から継続的に顧客紹介を受けられる仕組みを構築している点も共通しています。
顧客フォローを体系化し、毎年一定数の紹介が発生する体制を整えているため、新規開拓に追われ続けることなく活動できる点も特徴です。
最終的には「専門性」「紹介ルート」「法人案件」という三つの軸が揃うことで、年間収入2000万円のラインが現実味を帯びてきます。
MDRT・COT・TOTに必要な売上ラインとキャリア戦略
MDRTは世界基準、COT/TOTはその上位ランクです。ここでは、売上目標と必要な行動量の方向性をまとめます。
MDRTに必要な年間保険料・契約件数の計算方法
MDRTに到達するためには、最新基準では年間保険料換算で約1,448万円(US$151,000)が必要です。
個人マーケットのみでこの基準を達成する場合、月あたりの契約件数を多く確保する必要があり、一般的には年間30〜60件前後の契約が求められます(商品単価により変動)。
一方で法人保険を活用すれば、1件で年間保険料が200〜500万円以上になるケースも珍しくありません。
そのため、契約数を抑えながら基準を満たすことが可能で、「単価 × 件数」の設計次第で戦略の幅が大きく変わります。
最終的には、どの市場(個人/法人/事業承継)を主軸に活動するかが、MDRT達成の成否を左右する重要なポイントになります。
COT/TOT達成のための市場選択とアプローチ
COT(上位5%)やTOT(上位1%)に到達する営業マンの多くは、事業承継や財務戦略の領域に深く踏み込んでいます。
年間保険料で3000〜7000万円以上を必要とするため、中小企業の自社株対策や役員退職金準備など、高額案件が不可欠です。
また税理士・会計士との協業は必須で、企業オーナーの本質的な悩みを理解して提案できるだけの知識と経験が求められます。市場選択を誤ると到達は難しいため、早い段階で専門分野を絞る戦略が重要になります。
成績資格終身会員のメリットとキャリア価値
MDRTの成績資格終身会員に認定されると、継続的に高い成果を出している証明となり、顧客からの信頼が一段と厚くなります。
この資格は単なる営業成績の指標ではなく、人格や倫理規範への評価も含まれているため、法人契約を扱う場面では強力なブランドとして働きます。
士業からの紹介も増え、営業の難易度が下がるため、キャリアと収入の両面で長期的なメリットが得られます。
フルコミッションに向いている人・向かない人の特徴
フルコミッションは高い自由度と大きな収入ポテンシャルがある一方で、自己管理力や継続力が求められる働き方です。
向き不向きを事前に理解しておくことで、転職後のミスマッチや「思っていた働き方と違う」というギャップを防ぐことができます。
また、自分の性格や行動特性を把握することは、成果を安定させるための戦略づくりにも直結します。
ここでは、長く成果を出し続ける営業マンの共通点と、つまずきやすい人の特徴、それを踏まえた自己診断ポイントについて解説します。
成功する営業マンの思考・行動パターン
フルコミッションで長く成果を出している営業マンは、顧客の背景や価値観を深く理解しようとする姿勢が強く、単なる保険販売ではなくコンサルティング的な提案を行っています。
また学習意欲が高く、新しい商品知識や税務・財務の情報を常にアップデートし続けています。
彼らは行動量も安定しており、週単位で活動計画を見直す習慣を持つことで、行動のムラを最小化し、成果を安定させやすい傾向があります。
つまずきやすい人の特徴と回避策
成果が出にくい人に共通するのは、「戦略」と「戦術」の切り分けができず、短期間で営業手法そのものを大きく変えてしまう点です。
たとえば、1ヶ月テレアポを試した後すぐSNSに切り替え、翌月にはまた飛び込み営業に移行するなど、軸となる戦略が定まらないまま動いてしまうケースがよく見られます。
さらに、顧客フォローが疎かになり、紹介が生まれず、常に新規開拓に追われる負の循環に陥ってしまう点も特徴です。
こうした状況を避けるには、「戦略(市場選択・主軸の開拓方法)は3〜6ヶ月変えない」一方で、「戦術(トーク・行動量・導線改善)は週単位で見直す」というスタンスが重要です。
一つのアプローチを、腰を据えてやり切りながら顧客フォロー体制を整え、関係性を長期的に育てていくことで、紹介も自然に増え、成果は安定していきます。
自己診断チェックリスト
フルコミッションに向いているかどうか判断する際は、毎週一定量のアプローチを継続できるか、提案書作成や学習に楽しさを感じられるか、そして自分で目標を設定し、それに向けて淡々と行動できるかが大きな基準になります。
特に、短期の結果に一喜一憂せずに活動を積み上げられるタイプの人は、フルコミッションでも成功しやすい傾向があります。
フルコミッション転職で失敗しないための判断基準
フルコミッション転職で最重要なのは会社選びです。ここではその判断基準を整理します。
代理店選びの5つの基準(手数料率・商品数・案件供給)
フルコミッションに転職する際は、どの代理店に所属するかで年収が大きく変わります。特に重要になるのが次の5つの基準です。
まず注目すべきは①手数料率(控除率)で、同じ契約でも控除の多い代理店に所属すると手取り額が大幅に下がります。
次に、②取り扱い商品数も重要で、複数社の保険を扱える乗合代理店は顧客ニーズに柔軟に対応しやすく、成約率が上がりやすい傾向があります。
また、契約以外の支援として③案件供給(リード提供)の仕組みがあるかは、立ち上がりの収入安定に直結します。
さらに、④研修制度の質は営業スキルだけでなく税務・財務知識の習得にも影響し、長期的な成果に直結します。
最後に、日々の業務効率を左右する⑤事務処理サポートの充実度も見逃せません。事務作業が重い代理店では、営業活動の時間が削られ、収入の伸びが遅くなる傾向があります。
一社専属 vs 乗合代理店の違いと選び方
一社専属の保険会社では、教育体制が整っているため、未経験者でも基礎を身につけやすい反面、扱える商品の幅が限られます。
一方、乗合代理店は自由度が高く、自分の得意領域に合わせて提案できる魅力がありますが、自己管理が必須で環境によって成果の出やすさが大きく異なります。
自分の性格や営業スタイルに合わせて「教育重視」か「自由度重視」かを見極めることが必要です。
今の会社の歩合率・控除項目を見直す方法
現在の手取りが適正か判断するには、支給総額と控除項目の内訳を正確に把握することが第一歩です。
代理店経由の契約でどれだけ控除されているのか、扱う商品の手数料率と比較して妥当かどうかを検証します。
また、他社の報酬体系と比較することで、自分が損をしない環境かどうか客観的に判断できます。
安定して稼ぐための営業戦略|見込み客開拓・紹介・マーケティング
フルコミッションで成功するには、「見込み客の流れを止めない仕組み」が不可欠です。
紹介が自然に生まれるフォロー体制の作り方
紹介が継続的に生まれる営業マンは、契約後のフォローアップが一貫しています。
特に契約直後は、不安点を丁寧に解消し、顧客が「この人に任せて大丈夫」と感じられる状態をつくることが重要です。
その後も、保全手続きの案内や加入内容の再確認、ライフイベント時の連絡など、継続的にコミュニケーションを積み重ねる仕組みを持つことで、自然と紹介が発生しやすくなります。
誕生日や年末の挨拶など、節目のタイミングでのコンタクトも関係構築に有効で、長く信頼される担当者として認識されるほど、紹介は増えていきます。
SNS・オンラインで見込み客を育てる仕組み
オンラインを活用した営業では、教育型コンテンツを提供し続けることが鍵となります。
InstagramやYouTubeで保険の仕組みや資金計画の考え方を紹介し、見込み客が“相談したくなる理由”を積み上げていきます。
問い合わせ導線はLINEや無料相談フォームに誘導し、オンライン上で見込み客がファン化する仕組みを作ると成約率が大幅に高まります。
継続手数料・ストック収入を最大化する方法
安定収入を作るためには、解約率を下げる保全活動が欠かせません。契約内容の見直しや定期的な点検を実施し、顧客が商品を理解して安心して保有できる状態を作ります。
また、法人契約では契約期間の長い商品を扱うことで継続手数料が積み重なり、将来的なストック収入の割合が増えます。これにより、活動量が多少落ちても収入が下がりにくい体制が整います。
法人開拓・事業承継マーケットで年収を飛躍的に伸ばす方法
フルコミッション仕組みと最も相性が良いのが事業承継・法人保険市場です。ここに参入できれば、収入の安定化と高単価化が同時に実現します。
士業連携による法人アプローチの作り方
法人開拓では、税理士や社労士など士業との連携が非常に有効です。彼らは日常的に企業の財務や労務に関わっているため、オーナーの課題に直結する相談が頻繁に発生します。
セミナーを共同開催したり、専門テーマで勉強会を開くことで信頼関係が築かれ、顧客紹介を受けられる流れが作られます。
事業承継ニーズを保険に落とし込む手順
事業承継の場面では、自社株の評価や後継者への資金移転など複数の課題が絡み合います。
まず企業の財務状況を把握し、必要となる資金を算出した上で、退職金準備や買取資金を確保するための保険設計を行います。
このプロセスを丁寧に進めることで、経営者から「専門性の高い提案ができる担当者」として認識され、大型契約につながりやすくなります。
個人営業と法人営業の決定的な違い
個人営業は顧客のライフプランに寄り添う提案が中心ですが、法人営業は財務戦略や税務、事業承継など多角的な視点が求められます。
取引単価も法人の方が圧倒的に高く、一件の成約が年間保険料数百万円以上になることも珍しくありません。結果として、法人営業は収入の伸びが大きい一方、専門性を身につける努力が欠かせない領域です。
まとめ|フルコミッションで年収1,000万円を実現するための次の一手
フルコミッションはリスクもある働き方ですが、正しく理解し、正しい戦略を持てば収入もキャリアの自由度も最大化できます。
この記事で紹介したように、
● 仕組みの理解
● 正しい会社選び
● 見込み客の流れを作る営業戦略
● 法人・事業承継マーケットへの参入
これらを押さえることで、フルコミッションは「不安定な働き方」ではなく“努力が報われる働き方”に変わります。
次の一歩として、事業承継マーケットの知識取得・セミナー参加は非常に有効です。
高単価契約と専門家ポジションを同時に手に入れ、あなた自身のキャリアを長期的に安定させる第一歩となるでしょう。










