保険営業の手紙はこう書く!信頼が深まる例文と成功の型を徹底解説
「手紙でお客様にアプローチして、本当に読んでもらえるのだろうか?」
そんな疑問を感じたことはありませんか。デジタル全盛の今、保険営業だからこそ“紙の手紙”が持つ信頼性と温度感が見直されています。
しかし、書き方を誤れば逆効果になることも事実。
本記事では、手紙を“売り込み”ではなく“関係構築の第一歩”に変えるための基本ルールや例文を紹介します。
最も大切なポイントは──実は少し工夫するだけで、あなた自身の魅力が自然と伝わる文章になるということです。
目次
なぜ今「保険営業の手紙例文」が注目されているのか

デジタル化が進んだ今でも、紙の手紙による営業が保険業界で再び見直されています。
背景には、顧客が求める「信頼性」「誠実さ」「人間的な対応」への関心が高まっていることがあります。
金融庁が求める顧客本位の業務運営(顧客本位の原則)にも適合する、長期的な関係構築手法として注目されています。
メールやSNSでは伝わらない“信頼と温度感”のある営業手法
メールやSNSは即時性に優れる一方で、顧客にとっては大量の情報の中に埋もれてしまうことがあります。
これに対し、紙の手紙は「自分のために書かれた」と感じやすい特性があり、信頼形成に役立つとされています。
日本郵便株式会社の調査によると、手紙やハガキを受け取った人の約7割が「相手に好感を持つ」と回答しています(※郵便マーケティング研究2024)。
また、手紙は保存されやすく、後日見返すことで再接触の機会を生みやすい点も特徴です。
このように、保険営業における手紙は「誠実さ」と「信頼性」を伝えるツールとして再評価されています。
顧客心理に響く「アナログ×誠実」アプローチの効果
現代の顧客は、商品情報よりも「誰から提案されるか」を重視する傾向があります。
日本心理学会の「対人信頼に関する研究」では、“手間をかける行為”が誠実さのシグナルとして受け取られることが示されています。
封筒や筆記具、紙質などのアナログ要素は、相手への敬意と誠実さを象徴する視覚的・触覚的要素となります。
特に保険営業においては、ライフプランやリスクに関わる話題が多いため、“信頼関係を前提にした丁寧なアプローチ”が成果に結びつきやすいと考えられます。
こうしたアナログコミュニケーションの誠実性が、手紙営業の本質的な強みです。
新規開拓から紹介獲得まで、手紙が使える3つの営業シーン
保険営業における手紙活用は、以下の3つの場面で効果的に機能します。
① 新規開拓
初回接触の前後に手紙を送ることで、顧客に安心感を与え、面談の心理的ハードルを下げます。
特に法人営業では、決裁者に直接届く手段として有効です。
② 既契約者フォロー
契約後の感謝や制度改正の案内を手紙で伝えると、「この営業担当者は契約後も寄り添ってくれる」という信頼が高まりやすくなります。
③ 紹介・セミナー案内
紹介依頼やセミナー招待を手紙で行うと、押しつけ感を避けつつ、フォーマルかつ誠実な印象を保つことができます。
これら3つのシーンに共通するのは、「相手の都合を尊重しながら接点を持てる」という点です。
金融庁が推奨する「顧客の理解度・意向に応じた募集」にも沿うアプローチです。
参考資料(公式)
金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」
保険営業で手紙を活用するメリットと成功する書き方【例文あり】

デジタル時代のいま、あえて“紙の手紙”を活用する保険営業が増えています。
その理由は、オンラインでは伝えきれない「信頼・誠実・安心」を届けられる点にあります。
金融庁が掲げる「顧客本位の業務運営原則」にも合致し、顧客利益を最優先としたコミュニケーション手段として注目されています。
ここでは、手紙を使った保険営業がもたらす具体的な3つの効果と、成功する書き方のポイントを解説します。
お客様との信頼関係を深め、紹介・再契約が増える
保険営業において最大の成果は「信頼の再獲得」といわれます。
契約後に感謝や近況を伝える手紙を送ると、顧客は「この担当者は契約後も寄り添ってくれる」と感じやすくなります。
日本郵便の調査では、郵送DMを受け取った人の約7割が「企業や担当者に好印象を持つ」と回答しており(郵便マーケティング研究2023)、この“印象の積み重ね”が紹介や再契約のきっかけになるケースも少なくありません。
また、手紙は保存性が高く、後日再読されやすいため、長期的な信頼構築ツールとして有効です。
一方的な販促ではなく、「感謝」と「誠実な情報提供」を中心に据えることで、顧客本位の姿勢を自然に伝えることができます。
営業色を抑えたアプローチで他社との差別化を図る
金融庁の「適合性原則」では、顧客の理解度や意向に応じた説明が求められています。
これは営業においても、「販売目的よりも信頼構築を優先すべき」という姿勢を意味します。
手紙を使ったアプローチは、この原則を体現する手段の一つです。
たとえば「制度改正のご案内」「ライフプラン相談会のお知らせ」など、顧客の利益を起点にした内容にすることで、営業色を抑えつつ関係性を維持できます。
また、紙の媒体は感情伝達力が高く、総務省の白書でも「オフライン接点はデジタルより信頼感を与えやすい」と報告されています。
結果として、誠実な印象が他社との差別化を生み出し、自然なリピートや紹介へとつながります。
成約率アップにつながる“潜在見込み客”の掘り起こし方
手紙営業の強みは、まだ関係が浅い顧客層に対しても誠実で印象に残る第一接触をつくれることです。
デジタル広告やメールが溢れる中で、紙のDM(手紙)は“読まれ、覚えられる”媒体として再評価されています。
公的データが示す「紙DMの強さ」
複数の企業調査によると、本人宛の紙DMはおよそ7割以上が開封・閲読され、約2割が何らかの行動につながるという傾向が確認されています。
これは、一般的なメールマーケティングの平均反応率を大きく上回る水準です。
つまり、紙の手紙は「届く」「読まれる」「行動につながる」確率が高い高接触型メディアであり、特に信頼関係が重視される保険営業において効果的な手段といえます。
潜在顧客に響く“情報提供型レター”の活用
いきなり提案書を送るよりも、「地域経済ニュース」「制度改正の要点」「季節のご挨拶」など、営業色を抑えた“情報提供型レター”が信頼構築の第一歩になります。
このような手紙は「売り込み」ではなく「気遣い」として受け取られ、相手があなたを“誠実な営業担当者”として記憶するきっかけになります。
結果として、次回の面談やフォロー時に「以前お手紙をいただきましたね」と話題が生まれ、信頼を基盤とした成約率向上へとつながります。
法令順守のポイント(金融庁指針より)
●不招請勧誘の禁止:依頼のない個人宛に勧誘目的で送付するのは不可(保険業法第300条)。
●再勧誘の禁止:「不要」と明確に断られた顧客への再送付は禁止。
●誇大・断定表現の禁止:「必ず契約できる」「絶対に得する」などの表現はNG。
●顧客本位の原則:提案・情報提供は顧客利益を最優先に構成する。
出典:金融庁『顧客本位の業務運営に関する原則』
保険営業の手紙例文に学ぶ|心を動かす文章構成と基本ルール

保険営業で成果を上げるための手紙は、単なる文面ではなく「構成と意図」が重要です。
相手が受け取った瞬間に“自分ごと”として読んでもらえるよう、導入→本文→結びの流れを整えることが効果的です。
さらに、金融庁が示す「顧客の意向把握」と「誠実な説明責任」の考え方を反映することで、信頼性の高い営業文に仕上がります。
ここでは、心を動かす手紙の基本構成と、信頼感を高める表現ポイントを紹介します。
構成① 導入:時候の挨拶+相手への共感を添える
ポイント
●手紙を開いた瞬間に「柔らかい印象」を与えることが目的。
●いきなり営業の話をせず、季節感+気遣いの一文を入れる。
●相手の立場や近況に共感を示すことで、“自分宛の手紙”と感じてもらう。
例文
「〇〇様にはいつもお世話になっております。
季節の変わり目でお忙しい毎日かと存じますが、お元気でお過ごしでしょうか。
少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思い、お手紙を差し上げました。」
意識すべき点
●「突然のお手紙で失礼します」など、冒頭で丁寧に断りを入れると印象が良い。
●「ご多忙」「ご健勝」などの定番表現で礼儀を整える。
●短くても“気遣い+目的”の2点が伝わる導入が理想。
構成② 本文:顧客の関心・課題に寄り添う提案を書く
ポイント
●商品説明ではなく、顧客の生活・課題・関心に焦点を当てる。
●「最近話題の制度変更」「教育・医療費の見直し」など、相手が知りたいテーマを盛り込む。
●「あなたの役に立ちたい」という姿勢を中心に据える。
例文
「近年の医療費や介護費の上昇により、生活設計を見直される方が増えています。
〇〇様にとって無理のないプランを一緒に考えられれば幸いです。
具体的なご提案は、数分のお時間をいただければ口頭でもご説明いたします。」
意識すべき点
●金融庁が示す「適合性原則」に沿い、顧客の理解度・経験に合った提案にする。
●専門用語を避け、誰にでも伝わる“やさしい言葉”で書く。
●「売り込み」よりも「情報共有・支援」を強調する。
構成③ 結び:行動喚起へ自然に導く締め方
ポイント
●強引な誘導ではなく、“選択を委ねる”形が信頼される。
●「お時間のあるときに」「ご興味があれば」など柔らかい表現を使う。
●手紙を読んだ後の行動がイメージできるようにする。
例文
「ご都合のよいタイミングで一度お話しできれば幸いです。
ご負担のない範囲でご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
P.S. ご参考までに、最新の保障見直し資料を同封しております。」
意識すべき点
●「ぜひ」「必ず」などの断定語は避け、あくまで提案ベースにする。
●最後の一文には“安心感”を残す言葉を入れる(例:ご自愛ください、引き続きよろしくお願いいたします)。
●日本郵便の調査でも「追伸(P.S.)」付きの手紙は読了率が高い傾向がある。
信頼感を高める筆跡・封筒・便箋選びのポイント
文面だけでなく、見た目の印象も信頼形成に大きく影響します。
日本郵便のマーケティング調査では、封筒・便箋の質感や手書きの有無が「誠実さ」「温かみ」に関する印象評価を高めると報告されています。
筆跡は読みやすく、丁寧な文字を意識し、差出人の署名を手書きにすることで“人の温度”を伝えられます。
封筒は白または淡いクリーム色、便箋は罫線入りで落ち着いたデザインが好印象です。
また、封入物や宛名ラベルには誤字・略称がないよう注意し、細部の正確さ=信頼感と心得ましょう。
例文(文面末署名部分)
「末筆ながら、季節の変わり目ですので、どうぞご自愛くださいませ。
株式会社〇〇 ライフプランナー 〇〇〇〇」
参考資料(公式リンク)
・金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」
・日本郵便「DMを使った販売促進」案内ページ
目的別に使える!保険営業の手紙例文テンプレート集

保険営業では、相手の状況や目的に合わせて文面を変えることが信頼構築の鍵になります。
ここでは、「新規開拓・既契約者フォロー・契約後・紹介依頼・法人対応」など、営業シーン別に活用できるテンプレートを紹介します。
すべての例文は、顧客の利益を最優先にした誠実な表現を前提として作成しています。
新規開拓営業で初めて送る挨拶文
ポイント
・初回接触は「警戒心を解く」ことが最優先。
・「突然のご連絡をお許しください」と前置きし、誠実さと丁寧さを重視。
・自社紹介よりも、「なぜこの手紙を送ったのか」を明確に伝える。
例文
突然のお手紙で失礼いたします。
私、〇〇生命の〇〇と申します。地域の皆さまに向けて、将来の備えに関する無料相談を担当しております。
お仕事やご家庭の状況に応じた保障の見直しができるよう、ご案内を差し上げました。
ご多忙のことと存じますが、ご関心があればお気軽にご相談くださいませ。
補足アドバイス
●最後は「ご検討ください」より「ご相談ください」のように選択肢を委ねる表現にする。
●金融庁指針に基づき、「勧誘目的の明示」も忘れずに。
既契約者への近況フォロー・お礼の手紙
ポイント
●契約後のフォローは「感謝」と「安心の提供」が中心。
●販売色を一切出さず、顧客との関係維持を目的とする。
●季節の変化や社会情勢に触れると“気にかけている印象”が強まる。
例文
〇〇様、いつもお世話になっております。
ご契約から〇年が経ちましたが、その後お変わりなくお過ごしでしょうか。
最近では、医療や介護制度の見直しが進んでおり、保障内容を確認されるお客さまも増えています。
ご相談の際は、これまでのプランを大切にしながら、最適なご提案をさせていただきます。
補足アドバイス
●保険内容に直接触れる場合は「一般情報として」伝え、個別提案は面談時に。
●返信用ハガキやQRコードを同封することで、自然な再接触が期待できる。
契約成立後のサンクスレター
ポイント
●契約後すぐに送る「感謝の手紙」は信頼構築の第一歩。
●短文でもよいので、名前・契約の意義・今後のフォロー姿勢を入れる。
●契約番号や商品名は控え、個人情報保護に配慮。
例文
このたびはご契約をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様の大切なご家族を守るお手伝いができることを、大変光栄に思っております。
今後も定期的に制度改正やライフステージの変化に応じたご案内をお届けいたします。
末筆ながら、季節の変わり目ですのでどうぞご自愛くださいませ。
補足アドバイス
●署名部分は必ず手書きサインを入れると信頼度が高まる。
●同封資料がある場合は「P.S.に明記」すると読了率が上がる(日本郵便調査より)。
紹介依頼やセミナー案内に使える例文
ポイント
●「紹介してほしい」ではなく、「役立つ情報を共有したい」という姿勢で書く。
●セミナー案内では「営業目的ではない」旨を明記し、信頼を損なわない工夫を。
●タイトルやテーマを明確にし、顧客の“利得”を前面に出す。
例文
日頃よりお世話になっております。
来月、【相続・事業承継の最新制度セミナー】を開催いたします。
保険の勧誘を目的とするものではなく、経営者さま向けの情報提供を目的としております。
ご興味のあるご友人や知人がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご紹介くださいませ。
補足アドバイス
●「紹介」よりも「共有」や「ご案内」を用いると柔らかい印象に。
●返信方法を明記しておくと、行動につながりやすい。
法人・経営者・決裁者向けフォーマルレター例文
ポイント
・役職者宛は「要件明確・簡潔・敬意」を重視。
・社名・肩書・宛名は必ず正式表記。
・封筒・便箋は白無地か厚手のクリーム紙を使用。
例文
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇様
突然のご連絡を失礼いたします。
私、〇〇生命の法人営業を担当しております〇〇と申します。
貴社の福利厚生制度に関する最新の税制改正情報をご案内申し上げたく、資料を同封いたしました。
ご多忙の折恐縮ですが、ご関心のあるテーマがございましたらお目通しいただけますと幸いです。
補足アドバイス
●開封率を上げるには、封筒表面に「ご案内書在中」などと印字。
●差出人の役職を記載すると、ビジネス上の信頼感が増す。
反応率が上がる!保険営業の手紙例文を使った実践テクニック

手紙営業の効果を最大化するには、「文面」「タイミング」「フォロー」を組み合わせた実践的アプローチが欠かせません。
単に例文を使うだけでなく、相手の属性・状況に合わせた“温度感ある手紙設計”が成約率を大きく左右します。
ここでは、現場の営業マンがすぐ実践できる5つのポイントを解説します。
「追伸(P.S.)」で親しみと行動喚起を生む
手紙/メールの最後に配置されるP.S.は、本文を斜め読みした読者でも目を留めやすい設計として有効です。
実際に、メールマーケティングの専門記事では、P.S.は「読者が振り返る位置に配置された重要な一文」として紹介されています。
このため、保険営業の手紙では、本文を終えた後に「P.S.:〇〇というご案内もございますので、ご都合の良いときにご一報ください」といった一行の行動喚起を添えることで、親しみを演出しつつ、次のアクションへの橋渡しが可能になります。
※上記記述は、P.S.の効果を示す一般的なマーケティング知見を基にしています。
例文(追伸活用)
P.S.:次回の定期訪問では、〇〇制度の最新情報もお持ちします。ご都合の良い日程がございましたら、ぜひお知らせください。
ポイント
営業色を抑え、あくまで「情報共有」や「お役立ち提案」として書くことが信頼維持の鍵。
送付タイミングとフォロー電話の最適パターン
反応率を高めるには、手紙送付→3〜5営業日後のフォローコールが最も効果的とされています。
これは、内容が記憶に残っているうちに連絡を取ることで「お手紙の件ですね」と自然な会話に繋がるためです。
おすすめパターン
●手紙送付(火・水曜が最適)
●3〜5日後に軽いフォロー電話
●相手の都合を確認し、商談または情報共有を提案
電話では「お手紙、ご覧いただけましたでしょうか?」と質問するだけで十分です。
強引な誘導は避け、“確認とご案内”の姿勢を保つことが信頼を損ねないコツです。
顧客層に合わせた文面カスタマイズのコツ(個人・法人別)
手紙の反応率は、宛先による文面の使い分けで大きく変わります。
| 区分 | トーン | 内容の主軸 | 効果的なキーワード例 |
|---|---|---|---|
| 個人顧客 | やわらかく丁寧 | 家族・生活・健康 | 「安心」「将来」「備え」 |
| 法人顧客 | 端的・論理的 | 経営課題・税制 | 「事業承継」「人材定着」「経費効率」 |
たとえば、個人向けには「お子様の成長」「ライフイベント」など感情に寄り添う表現を、法人向けには「税制改正」「経営安定化」などの客観的テーマを中心に。
内容は同じでも、言葉の温度と角度を変えるだけで反応率が変化します。
手書き×印刷を組み合わせる“ハイブリッド手法”で効率化
全件を手書きにするのは非現実的ですが、宛名や署名だけでも手書きにするだけで印象が大きく変わります。
日本郵便のマーケティング資料でも、「宛名が手書きのDMは開封率が約1.3倍高い」と報告されています(郵便DMラボ, 2024)。
実践例
本文:テンプレート印刷(共通文)
宛名+署名+一言メッセージ:手書き
この“ハイブリッド手法”なら、大量配布の効率性と個別対応の温かみを両立できます。
参考:日本郵便「郵便DMの効果」
成約に結びついた手紙営業の成功事例【MDRT候補者の実践】
あるMDRT候補の保険営業パーソンは、テレアポ中心の営業から「手紙+フォロー型」に戦略を転換したことで、紹介・面談の質が向上し、顧客との関係性を軸にした成約プロセスを確立しました。
この営業マンは、まず新規顧客には「地域経済ニュース」や「制度改正情報」をまとめた情報提供レターを送り、3〜5日後に「お手紙をお送りしましたが、ご覧いただけしたでしょうか」と穏やかにフォローする流れを徹底。
相手に“売り込みではない誠実な印象”を残しながら、自然な会話のきっかけを生み出しました。
さらに、既契約者には「近況伺い」「感謝」をテーマに手書きメッセージを添え、契約の見直しや紹介の機会を得るケースが増加。
結果として、紹介中心の安定した営業スタイルへと移行することができました。この手法のポイントは、「短期的な成果を追わず、信頼を積み重ねる姿勢」にあります。
MDRT日本会が掲げる「顧客利益を第一に考えるプロフェッショナリズム」とも一致するもので、“手紙を通じて誠実さを届けること”が最も効果的な営業行動であることを示しています。
保険営業の手紙例文で失敗しないための注意点とNGパターン

手紙営業は信頼構築に効果的な手法ですが、文章の書き方や内容を誤ると、逆に不信感を与える恐れがあります。
特に保険営業は金融商品を扱うため、「不招請勧誘の禁止」「誇大表現の禁止」「顧客本位の原則」などの法令・指針を守ることが必須です。
ここでは、保険営業マンが手紙を書く際に特に注意すべきポイントと、避けるべきNG文例を紹介します。
誠実な印象を損なわないためにも、以下の点を押さえておきましょう。
営業色が強すぎる・売り込み感のある文面は逆効果
手紙営業で最も避けるべきは、冒頭から商品説明や契約を促す“売り込み型の文章”です。
特に初回のアプローチでは、相手との信頼関係がまだ構築されていないため、営業色が強い文面は「押し売り」「勧誘」と受け取られやすく、返って距離を置かれる原因になります。
さらに、保険業界には法令として「不招請勧誘の禁止(保険業法300条)」が定められており、顧客から依頼のない個人宛へ、勧誘目的の手紙・電話・訪問を行うこと自体が禁止行為とされています。
そのため、初回手紙はあくまで「情報提供」や「ご挨拶」の範囲にとどめ、勧誘と誤解される表現を避ける必要があります。
NG例
「今なら保険料が安くなるので、ぜひご検討ください」
「この商品は絶対おすすめです」
「ご契約いただくと損はさせません」
「今が加入のチャンスです」
問題点
●勧誘意図が明確で、初回接触として不適切
●「絶対」「損はしない」など断定的判断の提供に該当
●顧客のニーズが不明な段階では、適合性原則にも抵触する恐れ
改善ポイント
① 初回は“営業色ゼロ”が鉄則
「地域情報」「制度改正」「ご挨拶」「近況伺い」など“情報提供型”のテーマが最適です。
相手が受け取りやすく、読んでもらいやすい文面になります。
② 顧客利益を第一にしたニュートラル表現にする
例:
「ご興味がございましたら、お気軽にご相談くださいませ」
「ご状況に応じた選択肢をご紹介できます」
③ あなたの立場を誠実に明示する
所属・氏名・役割を簡潔に記載
「ご挨拶を兼ねて情報をお届けします」というトーン
④ すぐに契約を促さない
「ご検討ください」「ぜひ加入を」などは初回には不向き
あくまで“話をするきっかけ”になる言葉にとどめる
⑤ 不安を煽る表現は絶対NG
例:
「このままだと将来が危険です」
「備えがないと大変なことになります」
(金融庁が禁止する「不当な募集行為」に該当)
テンプレの丸写し・誤字脱字による信頼失墜
手紙営業で特に注意すべきなのが、ネットで見つけたテンプレートの“丸写し”や、急いで書いたことで生じる誤字脱字です。
保険営業は「大切な資産やリスクに関わる専門職」であるため、手紙の文章から受ける印象は、想像以上に大きく信頼度に影響します。
どれほど内容が良くても、文章の粗さは「雑」「誠実でない」「顧客を大切にしていない」という判断材料になってしまうのです。
テンプレ丸写しが危険な理由
●複数の営業担当が同じ文章を使っていることが多く、すぐに見抜かれる
●オリジナル性がなく「あなたに向けた手紙ではない」と感じさせてしまう
●顧客の状況を十分に把握していないと誤解され、適合性原則の観点でも不適切
●個別性を欠くため、反応率が著しく下がる
特に法人・経営者宛では丸写しは即アウトです。
経営者は日々膨大なDMや営業レターに触れているため、テンプレ文章かどうかはすぐに判断されます。
誤字脱字が招く「プロとしての信用低下」
●名前の漢字を間違える
●自社名・商品名の表記ミス
●日付・挨拶・敬語の誤用
●読点の位置が不自然で読みにくい
これらは、金融商品を扱う専門家としての基礎的な注意力に疑問を持たせてしまうため、
どんなに丁寧な内容でも、誤字ひとつで信頼を落とすことがあります。
改善ポイント:プロとしての“丁寧さ”を見せる方法
1.テンプレートは「構成だけ」借りて本文は必ず自分の言葉で書く
●季節の挨拶
●顧客ごとの状況
●過去の接点(紹介・面談・地域活動)
●相手にとってのメリット
これらを組み合わせると、唯一無二の文章になります。
2.「読み返しチェックシート」を導入する
●名前・住所・会社名の誤字はないか
●適切な敬語が使われているか
●勧誘と誤解される表現は入っていないか(保険業法300条)
●提案が顧客のニーズと整合しているか
3.印刷前・投函前に音読する
音読すると、読みにくい箇所や不自然な言い回しが発見しやすくなります。
4.封筒・便箋・筆跡の丁寧さを整える
文章だけでなく、見た目の「誠実さ」も信頼構築につながります。
宗教・健康・政治などセンシティブな話題は避ける
手紙営業では、どれほど丁寧な文章であっても、受け手の価値観に深く踏み込む話題は避けることが大前提です。
特に、宗教・健康状態・政治思想・家族問題などは、顧客のプライバシーに密接に関わるテーマであり、不用意に触れると不適切な勧誘・個人情報の不当収集と受け取られる可能性があります。
金融庁も、顧客本位の業務運営の中で「顧客の利益を損なう不適切な対応」を明確に禁止しています。
避けるべき具体例
●宗教・思想への言及
「信仰心が強い方には〜」「精神的な安心のために〜」など。
●健康状態への推測・質問
「最近お体の調子はいかがですか?」「そろそろ医療保障が必要では?」など。
→ 健康情報は“センシティブ情報”に該当し、同意なく扱うことはNG。
●政治・社会問題への主観的コメント
「選挙で社会が変わりつつあります」「今の政策では老後が不安です」など。
●家族構成・収入・価値観への踏み込み
「お子様の進路を考える時期では?」「年齢的に保険の見直しが必要です」など。
こうした表現は、読む相手に不要なストレスや違和感を与え、信頼構築どころか逆効果になります。
改善ポイント:取り上げるべき“安全な話題”
センシティブな内容を避けながら、価値ある情報提供を行うことで信頼を高めることができます。
●季節の挨拶・地域の話題
地域行事、防災情報、季節のイベントなど。
●制度やニュースの“中立的な”情報提供
税制改正、社会保障の公式発表など「事実ベース」の内容。
●誰にとっても役立つ一般的なライフプラン情報
ライフイベント別の保険の考え方(一般論)。
あくまで「勧誘目的ではなく情報提供」という立ち位置を守ることが重要です。
法令・ガイドラインに基づく注意点(公式)
●健康情報・資産情報など、同意なく収集してはならない(個人情報保護法)
●顧客の意向に合わない提案・推測は不適切(金融庁:適合性原則)
●不招請勧誘の禁止(保険業法第300条)
●顧客本位の業務運営(金融庁原則)に反する行為は一切不可
読み手に敬意を示す「丁寧語とマナー」の基本
保険営業における手紙は、営業色を抑えながら“誠実さ”を伝えることが目的です。
そのためには、文章の内容以上に、言葉遣い・礼節・形式の正確さが信頼の土台となります。
読み手を尊重した文面は「この担当者は丁寧な人」という好印象を与え、結果として相談や面談につながりやすくなります。
金融庁が重視する「顧客本位の業務運営」においても、誠実で分かりやすいコミュニケーションは重要な要素です。
基本の3原則:敬語・構成・読みやすさ
① 敬語は「丁寧すぎず、崩さず、適切に」
●過剰なへりくだりは不自然になり逆効果
●二重敬語(「お伺いさせていただきます」など)は避ける
●誤用しやすい敬語(恐れ入りますが/お手数ですが など)は正確に使う
→ 専門職としての“言葉のプロ意識”が伝わります。
② ビジネスレターの基本形式を守る
●日付・宛名・差出人を正しい順序で記載
●相手の会社名・肩書き・氏名の漢字を正確に書く
●句読点を整え、読みやすい段落構成にする
→ 形式の丁寧さは、そのまま信頼感につながります。
③ 読み手の負担にならない表現を選ぶ
●専門用語は避け、わかりやすい表現に置き換える
●長文を連続させず、適度に改行・間隔を入れる
●「〜してください」ではなく「〜いただければ幸いです」など柔らかな依頼表現を使う
→ 顧客への配慮が自然と伝わります。
避けるべきマナー違反の例(信頼低下につながる)
●名前の漢字を間違える
●宛名を略す(「御中」「様」の使い分け違反)
●いきなり自分の都合だけを述べる
●長文で読みづらい、句読点が不自然
●手紙全体が「上から目線」「押し付けがましい」
こうした細かな“ほころび”は、保険という信頼産業では特に大きなマイナス評価につながります。
改善するには?(実務で使えるポイント)
●投函前に必ず声に出して読み上げる(誤字・言い回しの不自然さが判明)
●顧客の立場で「読みやすいか」「負担はないか」を確認する
●書き慣れない場合は、短い文章+情報提供中心にまとめる
●「丁寧な言葉」よりも「誠実な意図」が伝わるかを優先する
ていねいなコミュニケーションそのものが、顧客にとって付加価値になるのが保険営業です。
まとめ|保険営業の手紙例文は“売り込み”ではなく“信頼構築”の第一歩
今回の記事では、保険営業で手紙を活用する際に押さえるべきポイントについて、以下の点を解説しました。
●営業色を抑えた“情報提供型レター”が初回接触で安心感を生むこと
●顧客本位を示す丁寧な言葉遣いと、誤字・テンプレ回避などの基本マナー
●目的別に手紙例文を使い分け、相手に合わせて文章を調整する重要性
保険営業における手紙は、契約を迫る道具ではなく「あなたを信頼できる担当者だ」と感じてもらうための第一歩です。
誠実な文面と継続的なフォローを積み重ねることで、紹介・再契約・面談の機会が自然と増え、長期的な成果に結びついていくでしょう。










